■第三がらくた集積所■ |
|
2007/10/17 自作人物像の全身ディテール密度を考えると、顔がのっぺらぼうでは情報が少なすぎるし、目鼻がつくとかえって情報過多になる、という中途半端なところがある。 ↓ そこで、顔面に「意味を見いだしにくいライン」を少なめに加えてみることにする。 アイデアスケッチと、実際に紙を用いた試行錯誤のあいだをいったりきたりしているうちに、「弓をひく天使」のパターンが得られた。極めて単純だけれども、目立ちすぎないアクセントとしては適切と思う。 ↓ カドを上下左右4カ所全部折ってしまうと、十字型という「意味のイメージ」をひきおこしやすいので、実際になにかに組み込んで使うには難しいかもしれない。 ↓ 左半分だけにしたら、結構落ち着いたような気がしたのであった。 |
|
![]() |
|
2007/11/23 |
|
![]() |
|
手元にあった1対√2の用紙を使っている。 |
|
2007/12/06 |
|
![]() |
|
最近、こういう形状が気になっている。 |
|
2007/12/12 |
|
![]() |
|
…しかし、よくよく見てみるとこの鼻は、小松氏による鼻の表現を上下逆にしただけではないか。 |
|
![]() |
|
2007/12/13 |
|
![]() |
|
2007/12/24 少し前につくっていた試作品に、糊を入れてみた。 |
|
![]() |
|
そういえば数日前、「上下逆の面をかぶっている人物像があったらどうだろうか」と思いついて、いくつかアイデアスケッチをつくってみた。 |
|
![]() |
|
繰り返しになるが、これはもともと上下逆のものとしてデザインしていたわけである。 |
|
2007/12/31〜2008/01/06 基本形までの折り図しかできていなかった「金剛力士像」の仕上げ工程を確定。 前回の完成図から変化した部分がいくつかあるが、耳の形状もそのひとつ。 |
|
![]() |
|
微妙に福耳っぽい耳となった。98年版よりもこちらのほうがつくりやすくなったし、形状も興福寺の像に近いような気がする。それにしても情報量過剰な顔面。 |
|
2008/04/19〜05/18 折紙探偵団マガジン109号に折り図が載る「魔法使い」(帽子バージョン)を新たに折ってコーティングを施したり、 |
|
![]() |
|
修理のためにおりがみはうすから引き揚げていた「水瓶座」をwet foldingで調整してからコーティングしたり。 | |
![]() |
|
このコーティング方法、表面のツヤ増加は極力抑えられるのだけど、水瓶座で使っている紙の「岩はだ」に対しては特有のでこぼこを強調して浮き上がってくるような感じになる。 |
|
![]() |
|
マモルウイング。 大がかりな蛇腹作品の中にも埋め込むことができるようにするため、比較的シンプルな構造としてある。 ところどころ破れてしまっているが、大体こんなイメージだろう。 |
|
![]() |
|
マモルフェイス1号。 |
|
![]() |
|
2008/05/24〜06/22 金剛力士像の新バージョン、試作5体目。 まだまだアヤシイ部分はいくつかあるけれども、このあたりまで来たら本番にとりかかってみようか、と思えてくる。 |
|
![]() |
|
前作は用紙の重なりが多い部分があって、コルキー70kgより厚い紙では折れなかったけれど、今回のは79センチ四方なら100kgのレザック82でも十分可能なくらいだ。厚い紙で折れるならば頑丈になるばかりでなく、紙の厚み自体をデザインに生かしたり、いろいろと味のある加工を施すことができる。 |
|
2008/12/22〜23 例によって、年賀状用の「丑神将 招杜羅大将(しょうとらたいしょう)」に今頃着手する。 パーツごとに作業を進めているように見えるが、実は現時点で、すでに不切一枚折りを目指していない。 今回のようなテーマ・使用目的から総合的に考えると、視覚的インパクトを最優先にした結果で必ずしも不切一枚にならなくてもよいと思うし、もうそろそろ「一枚でできているのか!という驚き」の要素を前面に押し出さなくても折り紙が存在感を発揮できるような環境になっていってほしい、という思いもある。 …などと、いろいろ理屈っぽく言ってみたりもするが、結局は「難しい設計ができない」ということがいちばん大きな要因だったりしないだろうか? |
|
![]() |
|
気を取り直して、いちばん最初の試作。「泉折り」をちょっと加工するだけで、なんとなく「顔」に見えてきてしまう。 …いかんいかん。このあたり、折紙者に於いては「見立て能力」が過剰に鍛えられすぎている、ということを常に念頭に置かないといけない。中途半端なところで止めてしまうと説得力が足りなくなる(題材によって、「どこまでつくり込めばいいか」はそれぞれ異なるものだけど)。 |
|
![]() |
|
顔面は、大体このようなところあたりが「止めるべきポイント」ではないか。 興福寺東金堂の像を参考にしているが、頬の肉感が重要なパーツでもあり、他の構成要素から出た余計なラインを適度に覆い隠すためにも貢献している。 |
|
![]() |
|
さきほどの顔面に髪を付けてみた状態。 目黒俊幸さんの「うに」をそのまま組み込んでいるが、なかなかマッチしているように見える。 …というか、これ以外に適切な技法が思いつかない。 |
|
![]() |
|
胸部はひねりを加えたポーズにも対応できるように余裕を持たせてあるが、本当はさらにもっと自由に動く構成にしておきたいところ。 | |
![]() |
|
興福寺の像を見ると、右手は「加トちゃん、ペ」をやっているように見えなくもないが、これはもともとは矢を持っていたということらしい。それを補った復元図もあるが、なんとなく、このままでもいいような気もする。 | |
それにしても、現時点の自分には「粘土力」がとにかく足りない。このままでまともに仕上がるんだろうか、と心配になる。 (粘土力は「ねんどりょく」と無理矢理読ませようかと。また変な用語をつくってしまっていますが、要するに粘土的な仕上げ加工ってことの意味で。) 「複雑な構成で設計する能力」と「粘土力」のどちらを先に身につけたいかと問われたら、迷わず粘土力を選ぶ。 まあどちらにしても、一朝一夕には身に付かないものではあるが…。 |
|
2008/12/27 髪付き頭部の試作第2号。 |
|
![]() |
|
このへんまで来ると、あとは強行突破できそうな気がしてくる。 |
|
「北條高史創作折紙作品集 現代折り紙」 |
|